発行日 2008年9月1日
Published Date 2008/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008366073
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69歳女。労作時息切れ、疲労感を主訴とした。大動脈弁狭窄兼閉鎖不全症にて大動脈弁置換術(AVR)と、完全房室ブロックにて永久ペースメーカ(DDDR)植込み術の既往歴があった。AVR術後4年で徐々に人工弁圧格差が上昇し、心エコーで人工弁の前方弁葉に開放制限を認めた。また、左室流出路の著明な肥厚・突出を認めた。X線透視でも前方弁葉に開放制限を認めた。再胸骨正中切開、左大腿動脈送血、上・下大静脈脱血で人工心肺を開始した。上行大動脈の真腔をエコーで確認後、上行大冷却中に左前下行枝と大伏在静脈SVGを吻合し、逆行性脳灌流を開始した。人工弁は心室中隔に平行に縫着されており、弁下部の心室中隔が大きく張り出し、前方の1葉が開放制限を起こしていた。慎重に人工弁を摘除し、張り出した心室中隔部分を切除して弁口を確保した。術後心不全が遷延し、dopamine hydrochlorideの長期投与、2回の両側胸水穿刺術を要したが、術後1年8ヵ月現在、人工弁の圧較差は安定し日常生活に不自由はない。
©Nankodo Co., Ltd., 2008