発行日 2011年9月1日
Published Date 2011/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2012013960
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56歳女。心室中隔欠損症の既往があった。10年前に心房中隔欠損・Ebstein奇形を指摘され、無症状のため経過観察となっていた。今回、呼吸困難、心不全による浮腫、チアノーゼ進行を認め、心不全軽快後に当科紹介入院となった。胸部X線で心胸郭比(CTR)70%の心拡大を認め、心電図は不完全右脚ブロックと心房細動を呈した。また、心エコーでは右心系の著明な拡大、三尖弁の偏位、収縮のない右房化右室を認め、高度三尖弁逆流、約10mmの心房中隔欠損および短絡血流も認めた。全身麻酔下に手術を行い、人工心肺確立後に右房を切開し、まず心房中隔欠損を直接閉鎖し、次いでatrial isthmusを含む右房maze手術をcryoablation(-60℃、2分)で行った。次いで、右房化右室を弁輪と平行に縫縮後、前尖をmonocuspとするように後尖、尖中隔を縫縮した。しかし、前尖の可動性がよくないため、Carpentier-Edwards 29mmを用いて弁置換を行った。右房壁を切除し、容積を減少させた後に閉鎖した。術後4年経過の現在、洞調律を維持し、CTRは52%まで改善し、右心系の縮小も認めている。
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