発行日 2008年9月1日
Published Date 2008/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008366081
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
71歳女。脳梗塞後のリハビリテーション中、心エコーでEbstein奇形と診断され、脳梗塞発症から約1年経過後に当院紹介された。胸部X線で心胸郭比60%の心拡大と右第2弓突出を認めた。心エコーにて三尖弁中隔尖の著しい右室内偏位(最大20mm)がみられ、前尖は十分な面積と可動性を有していたが、弁輪拡大による著明な接合不全でIV度の三尖弁閉鎖不全(TR)が存在した。その他、右心系の拡大とそれによる左室圧排所見があったが、左室駆出率は80%と良好であった。手術を行い、三尖弁中隔尖は本来の三尖弁輪の位置から約2cm落ち込んでおり、その範囲はほぼ後尖寄りの中隔尖に限局されていた。弁口は極端に広く、弁尖の接合はまったくみられず、水試験で全体的な逆流を認めた。Danielson変法にて中隔尖を本来の弁輪に引き上げたが、弁口中央部に逆流を認めるのみとなった。次に、広がった三尖弁口を縫縮するために、後尖弁輪をマットレス縫合によるKay法で縫縮したうえ、人工弁輪を用いて弁輪形成を完成させた。最終的な水試験で逆流は殆ど認めなかった。術後約6時間で気管チューブを抜去し、術後第1病日から食事を開始し、術後第16病日に退院となった。術後心胸郭比は49%となり、TRは消失した。
©Nankodo Co., Ltd., 2008