発行日 2015年12月1日
Published Date 2015/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2016087081
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症例は67歳女性で、当院他科で中等度大動脈弁狭窄症(AS)と診断され、経過観察中に心不全をきたし当科紹介となった。心電図で心房細動(AF)を、心エコーで左房径の拡大と高度AS所見を、頭部MRで陳旧性ラクナ梗塞を認めた。高度ASとAFに対し大動脈弁置換術(AVR)および肺静脈隔離術を行った。術後に人工心肺からの離脱は容易で、洞調律を維持できた。術後6日目にAFに移行し、左半身麻痺、構音障害を認め、MRIで右内頸動脈の完全閉鎖を認めた。脳神経外科にて脳血栓回収デバイスを用いた緊急脳血管内治療で血栓を回収し、血管造影で血流再開を確認した。神経学的異常所見から脳血流再開まで約3時間であった。脳血流再開直後に左半身麻痺、構音障害は消失したが、AFの持続でbisoprolol fumarate、flecainide acetateの内服と電気的除細動で洞調律を確認し、血管内治療後24日目に退院した。退院後12ヵ月で経過良好である。
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