発行日 2011年6月1日
Published Date 2011/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011288492
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74歳女性。以前より僧帽弁脱症および腹部大動脈瘤(AAA)が指摘されていたが、患者の希望により手術せず、経過観察が行われていた。だが今回、全身倦怠感および食欲不振を主訴に受診となった。画像診断では心拡大と胸水の貯留、ならびに僧帽弁と大動脈弁に疣贅の付着が認められ、大動脈弁逆流が増悪していた。また、血液培養では腸球菌が検出された。以上より、本症例は感染性心内膜炎と診断され、抗生物質の点滴を開始するも心不全が増悪し、かつ70mm近くのAAAを合併していた。そのため同時手術が行われたが、大動脈弁は3つの弁尖すべてに疣贅の付着を認め、僧帽弁は前尖、後尖ともに疣贅の付着が認められた。以後、機械弁による二弁置換術を施行し、更に胸部の手術創を完全に閉創してからAAAの手術を行い、Y型人工血管を使用して人工血管置換術が行われた。その結果、術後は洞調律であったが、徐々に心房細動になり、目下、手術から2年経過で感染の再燃など認められていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2011