発行日 2011年2月1日
Published Date 2011/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011106149
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52歳男。胸部X線像上異常陰影を主訴とした。約3年前より自覚していた右前胸部腫瘤が増大傾向を示し、胸部X線で右中肺野に約3cm大の結節影を認めた。胸部CTでは右前胸壁筋層深部より胸壁(第2肋間)を貫通し、胸腔内に膨隆・突出する低吸収性砂時計型腫瘤(径60×40×50mm大)を認め、MRIではT1、T2強調画像とも高信号を呈した。右胸壁脂肪腫(疑)の診断で胸腔鏡補助下に胸腔内外より観察しながら手術を行ったところ、腫瘍径が大きく、第2、第3肋骨との高度癒着を認めたため、腫瘍との十分なマージンを保ちつつ肋骨合併切除を行った。病理組織学的に線維性被膜を有する腫瘍は主に成熟脂肪細胞で構成されており、肋骨浸潤や悪性像は認めず、脂肪腫と診断した。胸腔内外に進展のみられる腫瘍に対し、胸腔鏡併用アプローチは有用と思われた。
©Nankodo Co., Ltd., 2011