発行日 2016年9月1日
Published Date 2016/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2016403004
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73歳男性。前立腺癌にて泌尿器科に通院中、撮影した胸部X線像で異常陰影を指摘された。胸部CTにて胸壁脂肪腫が疑われ、切除目的で呼吸器外科へ紹介となった。胸部X線像では右中肺野に4×3cmの境界明瞭な腫瘤影がみられ、胸部CTおよびMRIでは右第3肋間を貫通する脂肪濃度を含有した境界明瞭な腫瘤影が認められた。以上より、砂時計型経胸壁型脂肪腫と診断され、良性腫瘍であれば経過観察可能と考えたが、高分化型脂肪肉腫との鑑別が困難なため、確定診断の目的で手術を施行した。腫瘍は表面平滑で被膜を有し、周囲とは疏に癒着しているのみであった。腹腔鏡で胸腔内から腫瘍の辺縁を確認し、第3と第4肋骨の裏面を電気メスで剥離して腫瘍を摘出したところ、腫瘍は6.5×4.5×3.0cm大で、infiltrating typeのintramuscular lipomaと診断された。術後は4日目に退院となった。
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