発行日 2010年7月1日
Published Date 2010/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2010250147
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症例は50歳男性で、気管支喘息で呼吸器内科に通院中に胸部X線像にて右肺尖部の腫瘤を指摘され、胸部CTにて同部に36mm大の辺縁整、境界明瞭な腫瘤を認め神経原性腫瘍と診断され手術目的で外科紹介入院となった。入院後の胸部CTにて右肺尖部胸壁から胸腔内に突出する36mm大の辺縁整・境界明瞭な腫瘤を認め、内部には石灰化を伴っていた。胸部MRIでは同部位にT1強調像で筋肉と等信号、T2強調像で辺縁が高信号で内部が等信号と高信号の混在する36mm大の腫瘤を認め、FDG-PET所見では良性と診断された。胸腔鏡下の術中所見では30mm大の暗赤色腫瘤が右胸腔頂部壁側胸膜下にはまりこむように存在、浸潤は認めず腫瘍の凍結切片で良性の神経鞘腫と診断されたため神経を温存しつつ腫瘍を摘出した。摘出標本の病理所見では、異型に乏しい紡錘状細胞の棚状に密に配列する部分(Antoni分類A型)と浮腫状・粘液腫状の比較的細胞密度の粗な部分(Antoni分類B型)を認め、良性神経鞘腫と診断した。術後経過良好で9日目に退院となった。
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