発行日 2011年2月1日
Published Date 2011/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011106137
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71歳男。労作性呼吸困難を主訴とした。多発性骨髄腫(MM)stageIIaを合併した僧帽弁閉鎖不全(MR)例であり、化学療法開始前に開心術を行う方針となった。僧帽弁前尖の逸脱によるMRIII度と三尖弁閉鎖不全III度に対して僧帽弁置換術と三尖弁輪縫縮術を行い、退院後は特に合併症なく経過した。本症例では高カルシウム血症や骨病変を認めたが、病的骨折などの重篤な骨病変を認めなかったため、胸骨正中切開を選択し、周術期にはγグロブリン製剤の予防的投与、第1世代セフェム系抗生物質の投与と、脱水の予防、心房性ナトリウム利尿ペプチドの使用、カテコラミン投与によって感染症の回避と腎保護を図るとともに、出血傾向には血小板や新鮮凍結血漿などの輸血で対処した。
©Nankodo Co., Ltd., 2011