発行日 2004年9月1日
Published Date 2004/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2005017153
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63歳男.労作時呼吸困難,血尿を主訴とした.1985年,僧帽弁閉鎖不全,大動脈弁狭窄兼閉鎖不全,三尖弁閉鎖不全兼狭窄症に対し,大動脈弁置換術,僧帽弁置換術,三尖弁交連切開,三尖弁温存・生体弁弁輪上高位縫着術(TVSI)が施行された.1993年,僧帽弁および三尖弁位生体弁機能不全に対し,僧帽弁再置換術,TVSI弁摘除,三尖弁輪縫着術(Kay法)が施行された.三尖弁輪径の縮小を認め,Kay法で逆流を止めることが可能であったため,三尖弁位に人工弁を再縫着する必要はなかった.1999年頃から主訴が出現した.諸検査により,僧帽弁周囲逆流による溶血性貧血と診断し,僧帽弁再々置換術を施行した.今回の観察では,7年前と同様,右房壁生体弁縫着部は強固な線維輪として認められ,TISIにおいて右房壁が生体弁を保持するに十分な強度を有していると考えられた.また,弁摘除後も血栓形成や血行動態に悪影響を及ぼすことなく,そのままの形態を保っていることが確認された
©Nankodo Co., Ltd., 2004