発行日 2011年2月1日
Published Date 2011/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011106136
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50歳男。右前胸部痛を主訴とした。10年前より主訴と右前胸部から右腋窩にかけての腫脹を自覚していたが、臀部にも触ると疼痛を伴う小結節が出現した。胸壁腫瘍生検にてグロムス腫瘍と診断され、入院時のCTで右第3肋間の腫瘤(径35mm大)と、右臀部の結節(径11mm大)を認めたため、これらを摘出した。胸壁腫瘍は深部に存在し、病理組織学的所見上、拡張した血管が豊富で被膜形成や骨への浸潤はなく、核分裂像や核異型などの悪性所見も認めなかった。また、免疫染色ではビメンチン、SMA染色陽性、デスミン陰性で、臀部腫瘍も同様な組織像であり、多発性グロムス腫瘍と診断した。術後、前胸部痛や臀部痛は消失したが、1年後に右上腕三頭筋内にもグロムス腫瘍を認めているため、今後も厳重な管理が必要である。
©Nankodo Co., Ltd., 2011