発行日 2010年12月1日
Published Date 2010/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011060407
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
51歳男。悪寒、発熱、言語障害を主訴とした。大動脈弁閉鎖不全症(AR)と上行大動脈腫瘤に対する大動脈弁置換術+上行大動脈人工血管置換術の既往があり、前胸部の皮下腫瘤を自己切開した後に主訴が出現した。心臓エコー所見はAR 2度であり、人工弁感染性心内膜炎と診断してvancomycin投与を行い、炎症反応の低下と解熱が得られたが、AR 4度に増悪したため、手術を行った。術中、大動脈弁輪の破壊と弁輪下膿瘍腔を全周性に認めたため、左室流出路における感染組織のデブリドマンと洗浄を十分に行った後、ウマ心膜シートで作成した円筒状パッチを用いて全周性大動脈弁輪下膿瘍腔を閉鎖する左室流出路形成を行った。また、膿瘍より多剤耐性ブドウ球菌を検出したため、vancomycin投与を継続した結果、感染は完全に沈静化し、術後は不整脈や弁異常を認めることなく良好に経過した。
©Nankodo Co., Ltd., 2010