発行日 2010年12月1日
Published Date 2010/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011060406
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59歳女。胸痛を主訴とした。大動脈弁輪拡張症に合併した急性大動脈解離(Stanford A型、De Bakey分類I型)に対して2度の手術を受けており、大動脈基部から弓部にかけては人工血管に置換され、下行大動脈以下には解離が残存していた。入院時のCTで下行大動脈以下の慢性解離に再解離を認めたため、下行大動脈置換術を行ったが、術後2日目より乳び胸を認め、1000~2500ml/日のドレーン排液が持続した。手術治療を考慮すべきであったが、術後脳梗塞を合併し全身状態不良であったことからoctreotide acetateを投与したところ、投与開始直後より排液量が著明に減少し、再手術を回避できた。下行大動脈置換術後の排液量の多い乳び胸例に対し、octreotide acetate投与が有効であった。
©Nankodo Co., Ltd., 2010