発行日 2010年11月1日
Published Date 2010/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011034200
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63歳女。健診で心電図異常を指摘され、心臓超音波で圧較差90mmHg以上の大動脈弁狭窄症を認めた。64列造影マルチスライス(MS)CTによる評価では、横断面で上行大動脈径が最大42×44mmと軽度拡大し、大動脈弁二尖弁が示唆された。明らかなValsalva洞の形態は二つで、大動脈弁の弁輪径は22.5mm、弁口面積は0.47cm2であった。矢状断では左冠尖側の弁尖は7.1mm、右冠尖側は9.8mmで、左右の冠状動脈は各々のValsalva洞から起始していた。開胸術を施行し、人工心肺確立後に上行大動脈を切開した。大動脈弁は高度に弁尖が肥厚した二尖弁で、術前MSCTと一致した所見を認めた。弁尖を切除後、イントラアニュラ位でATS機械弁21mmによる人工弁置換術を施行した。術後経過良好で、MSCT所見に問題はなく、30日目に独歩退院した。術中採取した大動脈弁弁尖の病理組織所見で一部硝子化と石灰化を伴った中等度の粘液変性を認め、動脈硬化性変化が疑われた。
©Nankodo Co., Ltd., 2010