発行日 2010年11月1日
Published Date 2010/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011034192
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74歳男。健診の胸部X線で縦隔腫瘤影を指摘された。造影CTでは左中縦隔に10cm大の境界明瞭、辺縁整の腫瘤(A)、左下肺静脈を圧排する腫瘤(B)、肺動脈幹に接する腫瘤(C)を認めた。胸腔鏡下針生検で腫瘤Aは肉腫と診断され、左側方開胸下に腫瘍切除術を行った。腫瘤Aは被膜ごと切除し、腫瘤Bは左肺下葉および心嚢の一部と共に切除した。また、心膜脂肪織内に5mm大の白色結節を認め、同時に切除した。腫瘤Cは術野から触れられず経過観察とし、3ヵ月後に胸骨正中切開で切除を試みたが、左主肺動脈から肺動脈幹にかけて硬く広基性に固着し、浸潤が疑われたため生検のみとなった。病理組織所見で、腫瘤Aは異型性を示す紡錘形細胞が膠原線維を伴って錯綜する花むしろ模様を呈し、異型性の強い多核細胞を多数認め、背景にリンパ球優位の炎症性細胞浸潤を認めた。免疫染色ではビメンチン陽性、デスミン一部陽性、α-SMA、ミオグロビン、CD34、S-100、CD68陰性で、未分化多形肉腫と診断した。腫瘍B・C、白色結節も同様の組織であった。本人・家族の希望より追加治療は行わず、1年経過して症状なく生存中である。
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