発行日 2010年11月1日
Published Date 2010/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011034193
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53歳男。3年前に健診で心雑音を指摘され、近医での超音波で上行大動脈の拡大を認めた。今回、胸部圧迫感を自覚し、上行大動脈の更なる拡大を指摘され当科紹介となった。入院時、胸部聴診で収縮期雑音と拡張期逆流性雑音を聴取し、クモ状指、漏斗胸、脊柱側彎などを認めた。心臓超音波で上行大動脈は最大径60mmで、大動脈弁輪の拡大と大動脈弁の中等度逆流を認め、造影CTでは上行大動脈基部の拡大(58mm)と高度の漏斗胸を認めた。手術を施行し、第2~7肋骨の範囲で両側の大胸筋と肋骨の間を肋骨最高点まで剥離し、骨膜を剥がした後に第3~7肋軟骨を切除して胸骨左側の位置で開胸した。上行大動脈は性状良好で、拡張は基部付近のみであり、Bentall手術の方針とした。体外循環下に大動脈弁尖を切除し、左主冠状動脈と右冠状動脈を起始部より1.5cm剥離し離断した。大動脈壁を弁輪外側でトリミングし、2-0テフデッサー糸フェルトプレジェット付きでカーボシールグラフトを縫着して外側を連続縫合した。冠状動脈はCarrelパッチ法で再建した。次いで、漏斗胸に対し胸骨挙上術(Ravitch変法)を施行し、ゴアテックスシートを胸骨背側に3本通し、両側の第3・第4・第6肋骨に固定して胸骨を挙上した。術後経過は順調で、第14病日に退院した。
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