発行日 2004年9月1日
Published Date 2004/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2005017149
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47歳男.右頸部腫瘤,喘鳴を主訴とした.38歳時,右縦隔脂肪腫を切除し,9年後,主訴を自覚した.胸部造影CTで,右頸部から気管分岐下まで,前・後縦隔にわたり血管や気管,食道を巻き込む多房性,脂肪濃度の異常腫瘤を認めた.前縦隔の横径は約9cmで,上下方向に長い腫瘍であった.気管支鏡所見では,気管は左右に圧排狭窄していた.一期的に腫瘍の全摘を行うのは侵襲が大きいため,初めに頸部と前縦隔の腫瘍を,次いで後縦隔の腫瘍を摘出した.初回摘出した腫瘍は,成熟した脂肪組織様で重量は500gであった.病理組織像は,大部分は異型性のない成熟脂肪細胞の増生からなり,その中に大型でクロマチンに富んだ異型幼弱細胞を少数認めた.よって,高分化脂肪肉腫と診断した.2回目の術後,放射線照射を行い,3年を経過する現在,再発は認めていない
©Nankodo Co., Ltd., 2004