発行日 2010年8月1日
Published Date 2010/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2010332094
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69歳男性。患者は咳嗽、労作時息切れを主訴に前医を受診、肺炎の診断で抗菌薬の投与を受けるも効果がなく、精査目的で著者らの施設へ紹介となった。入院時、胸部X線では左肺の含気性の著明な低下がみられ、胸部CTでは左上葉全体が無気肺となっており、左主気管支腔内には造影効果の強い2×1.3cm大の腫瘤が認められた。また、気管支鏡では左主気管支腔内に内腔をほぼ閉塞する表面平滑な腫瘍性病変が確認され、生検にて定型カルチノイドと診断され、手術が行われた。開胸所見では腫瘍は気管支壁よりポリープ状に発生しており、迅速診断で悪性像のないことを確認後、肺実質切除を伴わない気管支形成術が施行された。その結果、病理組織学的に定型カルチノイドであり、リンパ節転移は認められなかった。尚、術後は呼吸リハビリテーションにより左上葉の含気は徐々に回復し、呼吸機能も改善した。目下、手術終了から1年8ヵ月経過で気管支吻合部の狭窄および再発は認められていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2010