発行日 2010年8月1日
Published Date 2010/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2010332093
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69歳男性。患者は腹部大動脈瘤の経過観察中であったが、排便時に突然の下血が出現し、精査加療目的に入院となった。腹部CTでは最大径85mmの紡錘状腎動脈下腹部動脈瘤が認められ、大動脈腸管瘻の可能性が考えられた。そのため入院第4病日目にステントグラフト内挿術が施行され、術後、上下部消化管内視鏡検査が行われたが、出血源は確認できなかった。以後、全身状態が良好であったため、手術終了から第11病日目に退院となったが、術後25病日目に発熱が出現し、動脈瘤の感染が疑われた。そして、再入院後17病日目のCTで動脈瘤内に著明なニボーを呈するガス像が確認され、腹部大動脈腸管瘻および動脈瘤感染と確定診断された。治療はまず鎖骨下動脈-両側大腿動脈バイパスが行われ、次いで開腹下に十二指腸瘻孔の縫合閉鎖、動脈瘤の切除が行われた。その結果、感染の再燃を認めず、目下、9ヵ月で経過は良好である。
©Nankodo Co., Ltd., 2010