発行日 2007年2月1日
Published Date 2007/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2007114062
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
17歳男、発熱、咳嗽を主訴とした。父親が大腸癌で死亡していた。近医で肺炎と診断され、抗生物質を投与されたが改善しなかった。当科入院時の検査では炎症所見以外に異常は認めなかった。胸部X線では左上肺野に閉塞性肺炎と思われる浸潤影を、CTでは左上葉の容積減少を認めた。気管支鏡検査では左上葉気管支を閉塞するポリープ状の隆起を認め、生検にて粘表皮癌と診断した。開胸時、左上葉は含気不良で、左主気管支沿いに炎症性と思われるリンパ節腫脹を認め、少量の炎症性胸水を認めた。左主気管支と下葉気管支を切除して左上葉管状切除を行った。腫瘍は左上葉気管支より発生し、18×15×14mm大、黄白色充実性で、ポリープ状に気管支内腔に突出していた。病理組織所見では粘液細胞による管腔形成と扁平上皮細胞の増殖を認めた。細胞異型性は軽度で、腫瘍の浸潤は気管支壁内に留まっており、低悪性度の粘表皮癌(T1N0M0、IA期)と診断した。術後経過は良好で、術後4年現在、再発は認めなかった。
©Nankodo Co., Ltd., 2007