発行日 2010年8月1日
Published Date 2010/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2010332087
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著者らが経験した心筋梗塞後の心室中隔穿孔(VSR)6例(男性5例、女性1例、平均年齢72.5歳)に対する手術成績について検討した。その結果、心筋梗塞発症から手術までの平均日数は3.5日で、梗塞部位は前壁中隔梗塞3例、下壁中隔梗塞3例であった。5例は術前ショック症状でIABPが挿入され、VSRは術前に経胸壁心エコーで短絡を確認することで診断された。術前に3例でPCIが行われ、2例でCABGが併施された。手術は前壁中隔梗塞では全例にinfarct exclusion法を、下壁中隔梗塞では1例にinfarct exclusion法、2例にDaggett法が施行された。一方、人工心肺離脱のために術中補助手段として全例でIABPを要し、更に1例でPCPSを要した。早期死亡を含めた入院死亡は3例(50%)で、その死亡原因は肺炎、急性呼吸窮迫症候群、低拍出量症候群(LOS)であった。尚、術後心エコーでは3例(50%)に遺残短絡を認め、いずれもinfarct exclusion法を行った症例であった。このうち1例は経過観察が可能な軽微な短絡であったが、残りの2例では再手術を要した。
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