発行日 2008年5月1日
Published Date 2008/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008208418
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82歳男。他施設にて狭心症と診断され、右冠状動脈(RCA)と左前下行枝(LAD)狭窄にbare metal stent(BMS)が留置された。抗血小板薬ticlopidine投与により肝障害が出現し、aspirinに変更された。6ヵ月後に心筋虚血を認め、RCA、LADのステント内狭窄に対しsirolimus溶出性ステント(SES)を留置された。aspirin、cilostazol、sarpogrelateを投与されたが、11日目に胸痛発作が出現し、当院紹介となった。冠状動脈造影(CAG)にて、LAD#6、RCA#1でステント内完全閉塞を認め、円錐枝(conus branch)よりLADへ、また回旋枝(Cx)より房室枝(4AV)へgrade2の側副血行を認めた。LADにBMS留置とバルーン拡張術(POBA)、RCAにPOBAを施行し、ステント遠位部にBMSを留置、RCA#1~#3にPOBAを施行した。左冠状動脈にPOBAを2回施行するが改善せず、RCA#2にも血栓像が出現したため、大動脈バルーンパンピング(IABP)を挿入し、緊急手術を行った。心室性期外収縮が多発し、心室細動が出現したため除細動を施行した。低血圧の持続ため人工心肺で体外循環を開始、大伏在静脈(SVG)を採取、大動脈を遮断してSVGでLADと後下行枝(4PD)にCABG2枝を行った。術直後に右室梗塞、その後誤嚥性肺炎、無顆粒球症をきたしたが、術後83日目に独歩退院した。術後2ヵ月間はaspirinとwarfarin投入し、その後はaspirinにて経過良好である。
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