発行日 2010年6月1日
Published Date 2010/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2010265971
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79歳女性。患者は狭心症・脳梗塞・高血圧にて近医へ通院中、胸部X線像で異常陰影を指摘され、著者らの施設へ紹介となった。入院時、胸部X線では左下肺野の心陰影に重なる部位に境界明瞭な楕円形の腫瘤陰影が認められた。また、胸部CTでは左下葉に一部下行大動脈に接する40×22mm大の腫瘤がみられ、辺縁は比較的整、内部はほぼ均一であった。気管支鏡下生検の結果、肺カルチノイドが疑われたが、腫瘍マーカーでProGRPが異常高値、NSEが高値を示し、小細胞癌の可能性も考えられ、診断をかねて肺部分切除術を施行したところ、病理組織学的に本症例は非定型カルチノイドと診断された。術後はNSEが低下したが、ProGRPは更に増加したため、腹部CTにて確認した結果、多発肝転移が認められ、化学療法が行われた。だが、Grade 4の副作用が出現し、1コースで中止、以後、対症療法のみで経過中である。
©Nankodo Co., Ltd., 2010