発行日 2008年7月1日
Published Date 2008/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008256283
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
67歳男。61歳時に右気胸で手術を受けていた。65歳で慢性腎不全のため人工透析導入となり、同時に右肺尖部の異常陰影を指摘された。その後血痰、陰影増大を認めた当院紹介となった。検査所見で腎機能障害、腎性貧血、高K血症、凝固系異常を認め、Pro-GRP値は経過中は70~80pg/mlで推移していたが、入院時は109pg/mlと上昇していた。胸部CTで右肺尖部にspiculationを伴う23×18mmの腫瘤影を認め、内部に気胸手術時のステープルが存在した。気胸手術の瘢痕周囲に生じた肺癌を疑い手術を施行した。肺と胸壁の強固な癒着がみられ、肺尖部の腫瘤部分を遊離し切除した。摘出標本で腫瘤はポリテトラフルオロエチレンシート付きのステープルを核とした肉芽腫であり、内部に乳白色の分泌物が充満していた。病理組織所見で腫瘤中心部は形質細胞と好中球の浸潤を伴う肉芽性変化を認め、腫瘍性病変や悪性像はなかった。術後3ヵ月で胸部異常所見は認めず、Pro-GRP値は60pg/mlに減少した。
©Nankodo Co., Ltd., 2008