発行日 2009年8月1日
Published Date 2009/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2009298956
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19歳男。健診で胸部異常影を指摘された。胸部X線で右肺門部腫瘤影、中間幹透亮像の途絶、右心縁のシルエット消失を認め、胸部CTでは右肺門部に境界明瞭で辺縁平滑、内部不均一な8×8cm大の充実性病変を認め、左房と上下肺静脈を圧排していた。また、中下葉の無気肺を認めた。気管支内視鏡で右中間気管支幹は腫瘍により完全閉塞していた。頭部MRI、骨シンチグラムで遠隔転移は認めなかった。カルチノイド、cT3N1M0、臨床病期IIIAと診断し、手術を施行した。腫瘍は中枢側が上中間幹分岐部に近接しており、上葉支からの切除断端の確保と上肺静脈の温存は困難と考えて右肺全摘を行った。病理組織像は顆粒状の核クロマチンと類円形の核をもつ異型細胞が血管の豊富な線維性組織で分断され、類器官様構造を呈し増殖していた。核分裂像は1個/10高倍視野であった。免疫染色ではCD56、クロモグラニン、シナプトフィジンが陽性であった。腫瘍近傍の#8リンパ節転移、脈管侵襲、リンパ管侵襲を認め、定型カルチノイド、pT2N2M0、病理病期IIIAと診断した。術後14日に軽快退院となり、術後8ヵ月の現在、再発は認めていない。
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