発行日 2010年7月1日
Published Date 2010/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2010250133
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症例は17歳女性で、2年前の冬から労作時の胸痛が出現、寒冷時の胸痛が増悪して持続するようになり、近医での精査にて大動脈弁閉鎖不全(AR)+大動脈弁輪拡張症(AAE)を指摘され今回、強い胸痛が出現し緊急入院となった。入院後の大動脈造影では弁中央よりSellers分類IV度の逆流を認め開胸手術となり、術中所見ではAAEにより大動脈弁中央の接合が消失していたが弁自体の変性は認めず、Gelweave Valslva graftによるDavid手術+部分弓部置換術を施行した。大動脈遮断の解除後、経食道エコーでIII度のARを認め、右冠尖部の落ち込みを認めたため無冠尖との交連部の吊り上げ術を施行した。術後経過は良好であったが、2ヵ月後に心不全が出現、ARの増悪と末梢側吻合部遠位側に拡張を認め、同時期に遺伝子診断にてLoeys-Dietz症候群と診断され2回目の手術となった。術中所見では前回手術の吊り下げ術でのフェルト付きモノフィラメント糸の部分が裂けて穿孔しており、大動脈弁置換術を施行した。切除標本の大動脈壁病理所見では嚢胞性中膜壊死所見であった。
©Nankodo Co., Ltd., 2010