発行日 2010年7月1日
Published Date 2010/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2010250132
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1997~2008年の12年間に施行した80歳以上の全身麻酔下原発性肺癌手術33症例を対象に、同時期の非手術患者15症例を対照群とし、更に79歳以下の若年者手術施行群との比較を交え臨床的に検討した。その結果、手術群は33例(男性21例、女性12例、平均82.0±1.9歳、病期I期24例・II期4例・III期5例)、対照群は15例(男性9例、女性6例、81.7±1.5歳、I期7例・II期4例・III期4例)、若年手術群は421例(男性283例、女性138例、66.6±9.3歳)であった。著者等の施設での高齢者肺癌根治術の適応基準は若年者とほぼ同様で、呼吸器・循環器系疾患の合併も多く、状況に応じ消極的縮小術も行っている。手術群と対照群の5年全生存率はそれぞれ60.2%・47.9%と有意に手術群が高く、II期・III期の対象群と若年者群の5年生存率には有意差を認めなかった。以上より、高齢者であっても若年者と同等に手術の安全性を確保すべきで、将来的にはQOLなどを考慮して外科・内科・放射線科で十分検討して治療法を選択すべきと考えられた。
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