発行日 2009年8月1日
Published Date 2009/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2009298962
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50歳男。健診で胸部異常陰影を指摘され当科紹介となった。胸部X線で右肺門に境界明瞭なextrapleural sign陽性の楕円形の腫瘤影を認め、非浸潤性の胸腺腫と診断し、胸腺部分切除術を施行した。病理診断は胸腺腫WHO分類type B1、正岡分類I期であった。以後経過観察していたところ、術後13年目の胸部CTで前縦隔に腫瘍を認め、胸腺腫の局所再発と考えられた。拡大残存胸腺摘出術を施行し、浸潤が疑われたため右上葉部分切除・心膜合併切除も施行した。病理診断は初回手術時とは異なり、胸腺腫WHO分類type B3であった。完全切除と考えられたが、浸潤性胸腺腫としての再発であることから、縦隔に対して術後放射線療法を施行した。しかし、再手術から2年後の胸部CTで縦隔上部左側に腫瘍を認め、胸腺腫の局所再々発と考えられた。なお、再々発は放射線照射野外の部位から発生したと考えられた。腫瘍摘出術を施行し、浸潤が疑われたため左上葉部分切除術も施行した。病理診断は再手術時と同様の胸腺腫WHO分類type B3であった。術後経過は良好で、初回手術より17年後の現在、無再発で生存中である。
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