発行日 2010年5月1日
Published Date 2010/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2010199008
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
63歳男。数週間前より前胸部苦悶感の増悪で受診し、両側肺野に湿性ラ音を聴取、炎症反応の上昇、心電図V1~V5誘導でのST上昇を認めた。胸部X線で心陰影の拡大、心エコーで心嚢液の貯留を認め、急性心外膜炎と判断して入院での抗生物質治療を開始した。CTで右室流出路を圧迫する50×38mmの充実性で不均一な腫瘤と心嚢液貯留を認め、急性心外膜炎を伴う心膜原発の悪性腫瘍の可能性も考慮して手術を施行した。腫瘍は胸腺左葉から発生して右室と癒着していたが被膜に覆われ、心筋への浸潤は認めず、心膜、胸腺左葉と共に摘出した。73×43mmの心膜と広く強固に癒着した腫瘍で、病理所見より胸腺肉腫様癌と診断した。術後約半年の局所再発に放射線療法を行うも腫瘍は急速に増殖し、paclitaxel単剤投与で部分寛解を得たが副作用が強いため中止し、中止後1年の再度局所再発を認め、docetaxel療法を行ったが無効で術後2年9ヵ月に死亡した。
©Nankodo Co., Ltd., 2010