発行日 2010年5月1日
Published Date 2010/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2010199010
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73歳女。18年前に重症筋無力症、胸腺腫と診断されたが手術拒否し、抗コリンエストラーゼ薬内服のみで症状は消失した。3年前より寛解状態で内服を中止していたが左変形性股関節の手術予定で筋無力症クリーゼのリスクを考慮し、胸腺摘出目的で入院した。軽度貧血と抗アセチルコリン受容抗体の軽度上昇を認め、胸部CTで前縦隔に5.7×3.3cmの内部に石灰化を伴い左腕頭静脈、上行大動脈に接する腫瘤を認めた。縦隔直下に弾性硬で凹凸のある手拳大の腫瘤を認め、左腕頭静脈に強固に癒着、浸潤しており拡大摘出術+左腕頭静脈合併切除+人工血管による再建術を施行した。8.5×7.0×3.5cm大の分葉傾向の腫瘍で、病理所見より正岡分類 III期、WHO分類type B2+B3の胸腺腫と診断した。術後、出血源不明の貧血進行は鉄剤投与で徐々に改善し、術後41日目に左変形性股関節症手術を施行した。貧血進行に対し骨髄穿刺で赤芽球系の低形成像を認め、網状赤血球は0%で赤芽球癆と診断し、免疫抑制薬投与で徐々に改善した。胸腺摘出後1年、CTで再発所見および貧血の進行は認めなかった。
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