発行日 2010年5月1日
Published Date 2010/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2010199011
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74歳男。59歳時の慢性C型肝炎を経過観察し、68歳時に肝S6の腫瘍を認めた。前医の超音波ガイド下経皮的肝針生検(PNB)で肝細胞と癌診断され経カテーテル動脈閉塞術(TAE)施行後は当院で経過観察した。5ヵ月後に病変の増大傾向を認めてTAEを施行した。5年9ヵ月後の腹部CTで右胸壁第9肋間中腋窩線上に20×15mmの大腫瘤を、胸壁超音波で肝S6に局所再発を疑った。発生部位から75ヵ月前に施行されたPNBによる穿刺経路播種(NTI)と判断したが原発性胸壁悪性腫の可能性も考慮し腫瘍切除目的入院した。腫瘍マーカーCEAの上昇、造影CTで右第9肋間中腋窩線上に動脈相早期で濃染する腫瘤影、肝S6にの結節影を認め、超音波で同部位に低エコーを呈する病変を認めた。腫瘍は肋間筋内に存在し、肋骨への癒着、浸潤はなく、腫瘍を含めた壁側胸膜および肋間を一塊に切除した。術中迅速病理で肝細胞癌の胸壁転移、切除断端陰性とされた。病理所見より転移性肝細胞癌・高分化型肝細胞癌と診断した。術後7ヵ月のCTで胸壁内の局所再発は認めず、肝S6の病巣は造影剤の明らかな濃染は認めず、術後21ヵ月現在経過観察中であった。
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