発行日 2009年11月1日
Published Date 2009/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2010071378
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61歳男。患者は右鎖骨部腫脹、自発痛を主訴とした。近医を受診し、右鎖骨下動脈瘤破裂と診断され、著者らの施設へ紹介となった。所見ではCT、血管エコー等で胸郭外の右鎖骨下動脈に最大径58mm大の動脈瘤が認められ、急速にこれが増大、自発痛を伴うことから、胸腔外鎖骨下動脈瘤切迫破裂と診断され、緊急手術となった。だが、CTで上行大動脈にも仮性動脈瘤を認められため胸部正中切開は回避すべきと判断、そこでエコーにより鎖骨上縁から直上の切開で中枢遮断が可能と考え、右鎖骨上窩-三角胸筋切開により人工血管置換が行なわれた。その際、椎骨動脈の中枢側での遮断となったため、右椎骨動脈には大腿動脈から外シャントで血液灌流が行なわれたが、脳虚血予防に有用であったと考えられた。また、病理上では血管に炎症、感染の所見はなく、動脈硬化性真性瘤であった。尚、術後明らかな反回・迷走神経障害や新たな脳梗塞の発症は認めなかったが、肺炎・急性腎不全を認め、術後110日目に患者はリハビリテーション科に転科となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2009