発行日 2016年9月1日
Published Date 2016/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2016403002
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57歳女性。Marfan症候群の診断で経時的なCT撮影が行われていたが、大動脈起部は徐々に拡大し、更に左鎖骨下動脈瘤もみられため手術方針で入院となった。経胸壁エコーでは軽度の大動脈弁閉鎖不全がみられたが、心機能は保たれており、胸部X線像では漏斗胸の再発を伴う胸郭異常が認められるも心拡大や肺うっ血は認められなかった。造影CTでは左鎖骨下動脈に最大短径32mmの嚢胞瘤が認められ、20ヵ月前に比べ5mm程度拡大していた。また、瘤は鎖骨の内側1/3より外側に向かって存在しており、Valsalva洞径は51mmであったが、その他の大動脈分岐に動脈瘤は存在しなかった。手術は中枢側と末梢側を遮断後、末梢側を離断し、瘤側にも鉗子をかけ遮断した。更に末梢側から中枢側に剥離をすすめ、腋窩動脈の分枝の外側胸動脈、胸肩峰動脈、最上胸動脈などの枝を切離した。すると、動脈瘤内に流入する血液は減少、動脈瘤に十分な減圧が確認され、中枢側を切離した。そして、動脈瘤を摘出後に径7mmのePTFE人工血管で中枢側、末梢側を吻合し、肩甲下動脈も再建した。その結果、術後10日目に退院となった。
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