発行日 2009年11月1日
Published Date 2009/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2010071373
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6歳男。患者は運動時動悸を主訴とした。母親は末梢性肺動脈狭窄(PPS)と診断され、経過観察中であった。生後1ヵ月でPPS、3歳で先天性大動脈弁上狭窄(SVAS)と診断された。5歳時の心臓カテーテル検査ではPPSは改善していたが、SVASの進行が認められ、今回、手術目的で入院となった。所見ではSino-tubular junction(STJ)径7mm、上行大動脈径9mmと、上行大動脈低形成を伴うSVASであった。良好な手術成績と術後遠隔期におけるSVASの再発、大動脈弁逆流の回避を考慮し、手術はMyers法および上行大動脈拡大が選択された。術中は左大腿動脈と上下大静脈で人工心肺を確立後、腕頭動脈にも選択的脳灌流用に送血管を挿入し、遠位大動脈弓、左総頸動脈と腕頭動脈の遮断により選択的脳灌流とすることで、上行大動脈の再建を簡易にした。その結果、術後はValsalva洞と上行大動脈の圧較差は改善し、大動脈逆流はみられなくなった。術後1年経過の心エコーでもSTJ径は13mm、上行大動脈径は11mmで、SVASは良好に解除されていた。
©Nankodo Co., Ltd., 2009