発行日 2009年11月1日
Published Date 2009/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2010071367
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遠位弓部大動脈瘤に対し新しいデリバリーシステム(CLATE)を用いたオープンステントグラフト法(OSG法)による弓部置換術を施行した8症例(平均年齢73.5歳)を対象にCLATEの有用性を検討した。術前診断は真性大動脈瘤7例、慢性解離性大動脈瘤1例であった。2例には冠状動脈バイパス術を併施し、体外循環時間は平均196分、大動脈遮断時間は平均108分、選択的脳分離灌流時間は平均105分で、術中出血量は平均797mlであった。尚、術前から貧血があった2例には他家血輸血を要した。術後、脊髄不全麻痺は1例、脳梗塞は1例に認められたものの、その他の合併症は認めなかった。また、全例に術後、造影CTを施行したところ、エンドクリークは全く確認されなかった。以上、CLATEはフレキシブルなプレートでpushing typeに比べて形状をより自由にかえられるため、個々の大動脈の走行にそってSGを挿入することができ、大動脈壁の擦過や損傷のリスクが低くなると考えられ、更に挿入位置の決定が確実・容易であり、有用性が高いと思われた。
©Nankodo Co., Ltd., 2009