発行日 2012年3月1日
Published Date 2012/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2012175460
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- サイト内被引用
66歳男。突然の背部痛を自覚し、CT・MRAで左鎖骨下動脈(LSA)起始異常を伴う右側大動脈弓(RAA)に合併した最大径49mmの急性大動脈解離DeBakey分類IIIb型の所見が認められた。頸部分枝は中枢側から左総頸動脈(LCA)、右総頸動脈(RCA)、右鎖骨下動脈(RSA)、LSAの順であった。保存的治療としたが、発症2ヵ月後にRAAの瘤径が60mmに拡大し、開胸術を施行した。LSAは深く、起始部での同定は困難であったため結紮し、左鎖骨下を切開して左腋窩動脈に人工血管を端側吻合した。RSAは根部で結紮切離し、末梢側に人工血管を吻合した。RCAとRSAの間で大動脈を離断し、左腋窩動脈とRSAの人工血管2本およびRCA、LCAからの計4本で選択的脳灌流を開始した。末梢の真腔に30mmの人工血管と30mmのZステントでオープンステントグラフトを施行し、大動脈壁に固定した。更に30mmの4分枝付き人工血管で上行弓部大動脈人工血管置換術を行った。術後経過良好で40日目に退院した。
©Nankodo Co., Ltd., 2012