発行日 2015年9月1日
Published Date 2015/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2016030706
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71歳男。嗄声を主訴とした。X線、CT、MRI所見より真性弓部大動脈瘤と診断し、開胸下に弓部大動脈全置換術を施行した。術後10日に右半身麻痺と運動性失語を発症し、CTで左前頭葉、左右後頭葉に多発性の新鮮脳梗塞を認めた。また、腹部大動脈内には血栓形成を認めた。術後に短時間の発作性心房細動があったことから、心原性の血栓塞栓症を疑い、未分画heparinの持続投与を開始した。術後15日より血小板数の著明な低下を認め、heparin起因性血小板減少症(HIT)を疑い未分画heparinの投与を中止し、argatroban hydrateの投与を0.7μg/kg/分で開始した。また、warfarin potassiumの投与を併用した。全身状態は回復し、術後57日に長期リハビリテーション目的に転院となった。臨床的診断、およびラテックス比濁法陽性、ELISA法陽性、機能的測定法の結果による血清学的診断からHITと確定診断した。術後3ヵ月にHIT関連検査は陰性化した。
©Nankodo Co., Ltd., 2015