発行日 2009年11月1日
Published Date 2009/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2010071368
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48歳男。患者は両下肢の重度痙縮を主訴とした。既往として胸部大動脈解離(Stanford A型)の診断で弓部大動脈人工血管置換術が施行された。当時、大動脈循環動態は特に問題なく経過していたが、肋間動脈循環不全に起因する脊髄梗塞が合併、後遺症として脊髄神経Th7レベル以下の運動感覚障害が残存した。その後、主訴が顕著となり、筋硬直に伴う疼痛により睡眠障害を来すようになった。痙性の程度を示すAshworth scaleは上肢は1であったが、股関節、膝関節、足関節の3~4であった。罹患範囲が広範囲であり、年齢、全身状態も髄注ポンプの埋込み手術に支障となる要素がないため、baclofen持続髄注治療の適応と判断し、臨床効果を確認後、ポンプ留置術を施行し、直ちに持続投与を開始した。その結果、術後15日目に退院となった。以後、外来で薬剤用量の調整を行い、術後12ヵ月の時点で下肢の痙性はAshworth scaleで平均1.3で安定している。
©Nankodo Co., Ltd., 2009