発行日 2009年8月1日
Published Date 2009/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2009298963
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
69歳男。健診で胸部異常陰影を指摘され当科紹介となった。胸部X線で右肺門部に腫瘤陰影を認め、シルエットサインは陰性であった。胸部CTでは右下葉S6に4cm大の腫瘤陰影を認め、高分解能CTでは腫瘤周囲に網状影を認め、間質性肺炎の合併を疑った。右B6bで気管支擦過細胞診を施行し、低分化型扁平上皮癌と診断され、肺扁平上皮癌cT2NOMO、臨床病期IB期の診断で中下葉切除術を施行した。術中、#11リンパ節が腫大し中葉に癒着しており、剥離困難のため中下葉切除術を施行した。病理組織像で腫瘍は低分化な扁平上皮癌を主体としていたが、それらから移行して紡錘型の肉腫様細胞を認め、この部分が全体の10%を越えていたため、多形癌と診断した。非腫瘍部の末梢組織には間質の線維性肥厚がみられ、それらに近接して正常肺胞構造がみられた。線維化部辺縁には、早期線維化巣と考えられる線維芽細胞単を認めた。#11リンパ節には転移を認め、pT2N1M0、病理病期IBと診断された。術後早期に間質性肺炎の増悪はみられず、術後3週からtegaful・uracilの投与を開始した。しかし、術後6ヵ月に第4腰椎、胸骨、右上葉に転移がみつかり、術後7ヵ月に死亡した。
©Nankodo Co., Ltd., 2009