発行日 2009年8月1日
Published Date 2009/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2009298954
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67歳男。咳と痰を主訴とした。検査所見、胸部X線・CT、気管支鏡検査所見より、右肺上葉に発生した肺癌が右上葉支入口部から右主気管支内腔に向かい増殖する原発性肺癌と診断し、T3N1M0、臨床病期IIIA期で右肺上葉管状切除術が妥当と判断された。しかし、右肺中下葉の閉塞性肺炎が示唆され、手術を行った場合に生じうる合併症(肺炎の遷延や感染に伴う断端瘻)や保存的治療に要する術前治療期間の長期化が危惧されたため、予め右主気管支の腫瘍閉塞を解除する目的でNd-YAGレーザーによる腫瘍焼灼を行うこととした。焼灼は2日に分けて行い、気管支内視鏡で内腔の完全開通を確認した。その後、肺炎像は軽快し、焼灼後12日に右肺上葉管状切除術、ND3α、壁側、心膜合併切除、気管支吻合部心膜被覆を行った。腫瘍は右肺上葉S1領域に主座をもち、滑面像では広範な壊死を認める灰白色充実性腫瘍で、周囲に閉塞性肺炎を伴っていた。病理組織学的には中分化型の扁平上皮癌で、壁側胸膜および縦隔胸膜の一部に浸潤を認め、1群リンパ節への転移も認めた。経過良好で、術後21日に軽快退院となった。
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