発行日 2009年8月1日
Published Date 2009/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2009298964
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58歳男。右胸痛を主訴とした。CTで右前縦隔に9cm大の腫瘤を認め、右房に接しており浸潤が疑われた。MRIではT1強調像で低信号、T2強調像で高信号を示し、心との間の脂肪層は一部消失しており浸潤を疑う所見であった。ダイナミックMRIでは固形部分は緩徐に造影され、造影されない嚢胞部分と混在していた。緩徐な造影効果を有する部分はT2強調画像で高信号の部分であり、粘液腫様変性が疑われた。悪性前縦隔腫瘍と診断し、腫瘍切除術を施行した。腫瘍は右前縦隔に位置し、心膜、右肺上葉、中葉に浸潤を認めたため、これらの合併切除を施行した。病理組織像では異型細胞の束状増殖を認め、異型細胞は紡錘形~多核の形態を示し、多形性で背景に粘液性の基質を認めた。免疫染色ではビメンチン陽性、α-SMA、デスミン、CD34、S-100、CD68、AE1/AE3陰性であった。以上より、粘液型悪性線維性組織球腫と病理診断した。術後2ヵ月のCTで前縦隔部の軟部組織影増大を認め、術後3ヵ月のCTでは更に増大していた。胸膜播種と判断される右肺底部をはじめとする胸膜直下の多発結節影が出現し、局所再発および右胸腔内播種を認めたため、化学療法を開始し、現在も治療中である。
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