発行日 2008年6月1日
Published Date 2008/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008236412
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66歳女。咳嗽が持続し、X線で右肺門部に腫瘤陰影を認め、中葉は無気肺を呈していた。CTでは右肺門部に径4cmの腫瘤陰影を認め、周辺に1cm以下の結節影が散在していた。気管支鏡で中葉支を閉塞する白色調、ポリープ状の腫瘍を認め、生検結果は中分化型腺癌であった。肺原発腺癌、cT4N0M0、stage IIIbと診断し、手術を施行した。腫瘍は中葉を占拠し、葉間を越えてS3にかけて存在しており、上中葉切除+リンパ節郭清を行った。病理組織所見で、乳頭状に広がる腺癌の中に扁平上皮の成分が混在し、腺扁平上皮癌が主体と考えられた。腫瘍の辺縁では腫瘍細胞がばらつき始め、紡錘形の肉腫様細胞を認めた。これらの細胞が10%以上みられ、多形癌と診断した。術後carboplatin+paclitaxelの化学療法を行ったが、2年6ヵ月後にCEAの再上昇、右鎖骨上リンパ節転移を認めた。Gefitinibを開始しCEAは一旦低下したが、その後再上昇および脳転移を来たし、術後4年1ヵ月で死亡した。
©Nankodo Co., Ltd., 2008