発行日 2008年12月1日
Published Date 2008/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2009042223
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68歳男。咳嗽が出現し、近医胸部X線で右上肺野に異常影を指摘され紹介となった。血算、生化学、腫瘍マーカーに異常値はなく、呼吸機能検査では閉塞性換気障害を認めた。CTで右上葉S1に気管に隣接する最大径4.5cmの充実性腫瘤を認め、一部は上大静脈に接していた。気管支鏡検査でも確定診断できず、縦隔浸潤肺癌疑いとして手術を施行した。アプローチは、縦隔浸潤が存在した場合の術野展開の容易性と、閉塞性換気障害合併に対する呼吸筋損傷回避の必要性から胸骨正中切開とした。胸腔鏡で胸膜播種や縦隔浸潤は認めず、迅速病理結果は大細胞癌疑いで、右上葉切除+縦隔リンパ節郭清を行った。創痛は軽度で、呼吸器合併症はなく順調に経過し、術後10日に退院した。その後再入院してcarboplatin+paclitaxelの化学療法を施行し、術後3ヵ月の呼吸機能検査では閉塞性換気障害は認めたが、機能低下は軽度であった。術後8ヵ月に多発肝転移を認め、追加化学療法を施行中である。
©Nankodo Co., Ltd., 2008