発行日 2008年5月1日
Published Date 2008/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008208420
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74歳男。半年前から乾性咳嗽があり嗄声も出現し、近医で左上肺野に腫瘤影を指摘され当院紹介となった。腫瘍マーカーのSCCとCYFRAが高値を示し、CTにて大動脈弓から左前縦隔、さらに前胸壁に接する腫瘤を認めた。FDG-PETにより左上葉縦隔側に大きな高集積を認め、縦隔浸潤を疑った。生検から中分化扁平上皮癌と診断した。以上の所見から、縦隔浸潤疑いの肺扁平上皮癌(cT4N0M0、stageIIIB)として胸骨正中切開による左上葉切除および縦隔リンパ節郭清(ND2a)を施行した。腫瘍は左肺S3より発生し、前縦隔には浸潤性に固着、前胸壁には炎症性に固着していたが浸潤は認めなかった。総頸動脈起始部外膜の一部に若干の腫瘍遺残があったが、年齢、performance status(PS)低下を考慮して大動脈置換は行わなかった。腫瘍は縦隔側胸膜、横隔膜神経および反回神経を巻き込む形で連続性に浸潤しており、病理所見より肺扁平上皮癌、高~中分化型、n(-)、p3、pm0、p-stageIIIBと診断した。術後補助化学療法は体調不良のため施行できず、術後7ヵ月目に左癌性胸膜炎を発症し術後11ヵ月目に死亡した。
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