発行日 2006年3月1日
Published Date 2006/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2006153672
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48歳男.29歳時に左肺嚢胞を指摘されていた.右前胸部痛が出現し,胸部X線で右上肺野の腫瘤影および左巨大気腫性肺嚢胞を認めた.胸部CTでは右S2を中心とした手掌大の腫瘤が広範囲に胸壁に接し,左上葉の巨大肺嚢胞は隣接残存肺を著明に圧排していた.右腫瘍側でも上葉を中心に大小の気腫性肺嚢胞が多発していた.骨シンチグラム,頭腹部CTで異常所見はなく,胸壁浸潤肺癌疑,cT3N0M0,IIBと診断し,術中合併症の可能性を考慮し,更に呼吸機能改善効果を期待して肺嚢胞切除を先行した.手術所見で肺嚢胞は広範囲に胸壁と炎症性に癒着しており,上葉の相当部分を占拠して広基性の嚢胞底を有していた.この嚢胞底を含め嚢胞切除を行った.術後呼吸機能改善は得られず,肺葉切除後の心肺機能状態をシミュレートした選択的右肺動脈閉塞試験より肺切除可能と判断し,初回手術後4週に右上葉切除を行った.術後間質性肺炎を発症したが,ステロイドパルス療法,経口投与で改善し,第36病日に軽快退院した.術後1年2ヵ月経過し再発はない
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