発行日 2008年12月1日
Published Date 2008/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2009042222
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69歳女。31歳時に甲状腺癌で甲状腺亜全摘を施行されていた。感冒症状を自覚し、他院でのCTで右肺S5に14mmの境界明瞭な結節を指摘され経過観察されていた。約1年後、24mmと増大を認めたため紹介受診した。血液生化学検査、腫瘍マーカー、甲状腺機能に異常所見はなく、骨シンチグラムでは集積を認めなかった。右原発性肺癌を疑い、手術施行となった。胸腔鏡で胸腔内観察し、右肺中葉に結節を同定した。胸水は認めなかったが、胸腔洗浄細胞診はclass IVであった。中葉部分切除術を施行し、腫瘍は境界明瞭で、迅速病理結果は砂粒小体を伴う腺癌であった。摘出標本は境界明瞭な白色、充実性の腫瘍で、病理組織学的には乳頭構造を持つ腺癌であり、免疫染色ではTTF-1陽性、サイログロブリン弱陽性で、甲状腺癌肺転移と診断された。術後経過良好で第6病日に退院した。その後残存甲状腺全摘、リンパ節郭清術を受け、リンパ節に再発を認めたが、残存甲状腺には病変を認めなかった。今後アイソトープ治療を予定している。
©Nankodo Co., Ltd., 2008