発行日 2007年12月1日
Published Date 2007/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008116830
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20歳男。患者は19歳時に心房中隔欠損症に対する開心術を受けた。しかし、術後2ヵ月経過で体重の5kg増加と全身倦怠感を自覚し、この症状は持続した。胸部X線では心拡大、右第2弓、左第3弓の突出が認められ、CTでは壁側心膜の肥厚がみられた。また、MRIでは壁側心膜と心外膜の肥厚を認めた。以上、これらの所見から本症例は心房中隔欠損症術後に発症した収縮性心外膜炎と診断され、手術が施行された。但し、本疾患に対しては通常の心膜切除が有効ではなく、手術操作が極めて困難で心筋損傷を来しやすい心外膜剥皮が必要であった。そこで、心外膜を全て取り去るのではなく、心外膜に格子状の切開を加えて拡張能の改善を図るwaffle法が用いられた。その結果、術後経過は良好で、術後1ヵ月のカテーテル検査では、肺動脈楔入圧が26mmHgから14mmHgへ、右房圧が22mmHgから11mmHgへ、肺動脈圧が38/26mmHgから30/11mmHgへ、更に心拍出量係数1.91l/分/m2から3.17l/分/m2へと改善を認めた。
©Nankodo Co., Ltd., 2007