発行日 2007年12月1日
Published Date 2007/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008116829
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5ヵ月男児。患者は哺乳2時間後、発熱等の前駆症状もなく、突然、脱力と嘔吐を認め近医を受診、心雑音を指摘され、著者らの施設へ緊急搬送された。心臓超音波では著明な僧帽弁逆流が認められ、急性発症の僧帽弁閉鎖不全と診断された。内科的治療を行うも反応が悪く、発症後15時間で緊急手術が施行された。その際、術前の肺水腫の程度から人工心肺の離脱は困難と考え、補助循環回路の必要性が考慮された。しかし、気道出血を起こしたことから、先ずそのコントロールを行い、止血を確認後、手術が行われた。その結果、僧帽弁周囲には疣贅等の感染所見はなく、術前の心電図、術後のシンチグラムでも虚血性変化は認めなかった。病理学的にも組織変性は認められなかったが、術中所見で僧帽弁腱索は前乳頭筋の付着部位から断裂し、付着部位の変性を認めたため、先天的な形成不全の可能性は考えられた。現在、人工腱索を用いた手術から1年が経過するが、心臓血超音波検査上、僧帽弁逆流は1度であり、経過は良好である。
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