発行日 2007年12月1日
Published Date 2007/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008116831
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80歳男。患者は外出先で突然前胸部痛が出現し、救急搬送された。胸部X線では心拡大、前縦隔の拡大、気管の右方偏位を認めた。CTでは上行大動脈の瘤化と解離を認め、Stanford A型急性大動脈解離と診断された。この時点では心嚢液の貯留は少量であったが、CTからICUに戻った直後に意識が消失し、呼吸が停止した。気管挿管、人工呼吸を施行したが、急変直後に心臓マッサージは実施されなかった。モニター上は正常洞調律であった。頸動脈の拍動を触知しなかったため、心配停止と判断して心臓マッサージを開始し、心肺蘇生を行いながら心エコーが施行された。その結果、心嚢内に大量の液体貯留が確認され、右室は心嚢液に圧排されて内腔が虚脱していた。心タンポナーデによる無脈性電気活動と考え、心嚢穿刺を行い心拍を再開させ、手術が施行されたが、左冠状動脈入口部の後壁にinitial tearを認めた。そこで、この部位を含めて上行大動脈を切除し、人工血管で上行大動脈置換術が施行された。
©Nankodo Co., Ltd., 2007