発行日 2007年12月1日
Published Date 2007/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008116822
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33歳男。患者は交通事故後、ショック状態で救急搬送された。所見では全身の多発挫創と両下腿の開放骨折が認められ、胸部単純X線では縦隔の拡大と左胸水貯留を認めた。また、腹部造影CTでは遠位弓部大動脈から気管分岐部の2cm末端側までの下行大動脈が解離し、左血胸がみられ、縦隔内には多量の血腫が存在し、心臓を腹側に圧排していた。更に頭部CTでは右前頭葉に脳挫傷と思われる広範囲な低吸収域が認められた。外傷性大動脈破裂と診断され、搬送から2時間後、緊急にL字胸開法(胸骨上方部切開+左前方開胸)による人工血管置換術が施行されたが、術中、本アプローチにより解離した脆弱な部位の大動脈再破裂に対して即座に上行大動脈と弓部大動脈にアプローチすることができ、安全に手術が遂行することができた。術後は12日目に両下肢観血的骨整復術が施行され、以後、約2ヵ月間の歩行リハビリテーションを経過して患者は歩行退院することができた。
©Nankodo Co., Ltd., 2007